TOKYOからOKINAWAに移住したHOMME

20代後半で思い立ったように東京から沖縄に移住したヤローの徒然+プログラム関連作業用メモ

作業用メモ:規約違反のアドセンスの「スクロール固定」を一部サイトが普通に使える理由

作業用メモ

 画面をスクロールさせるとそれに追従して移動し、ウィンドウの特定の場所に固定される「フロート(フローティング)型」と呼ばれる広告がある。スマートフォン向けのモバイルサイトなどで見る機会が特に多いと思われるが、PC向けサイトではサイドバーのコンテンツの一部と広告をセットにして固定する方法がよく使われる。企業サイトでの導入例としては、はてなブックマークのPC向けブックマークページなどがわかりやすい。

 

この「フロート型広告」にGoogleアドセンスを使えるのかどうかについては、以前軽く調べた時点では明確な答えが出ていないと勝手に認識していた。上記のはてなブックマークページでは、他の広告とのローテーションながらアドセンスがサイドバーに表示されて固定表示される場合があるし、「大手」と呼べるようなブログでも採用している例が散見されていたのがその理由。全体的には「やらない方がいい」という論調だったものの、「“やっていい”とも“やるな”とも意図的に書かれていないグレーゾーンの方法で、Googleがその時々の判断で(サイトの規模などによって)禁止と黙認を使い分けている」ような状態だと個人的には考えていた。(ちなみに、自分自身のサイトでは試してみる気もタイミングもなかったので、アドセンスを固定したことは一度もない。)

ところが、ちょっと別の事情があってGogoleのヘルプページを調べていたところ、AdSense 広告コードの修正というページで以下の文言を発見。アドセンスをフロート表示させることは、ガイドラインで完全に禁止しているらしいことに今更気がついた。

AdSense コードについて、禁止されている改変方法は次のとおりです。

  • 広告ユニットを隠す(display:none など)
  • コンテンツを覆い隠すような方法で AdSense 広告コードを設定する
  • 何らかの方法で 1 ページに 4 つ以上の AdSense 広告ユニットを表示する
  • 隠しキーワードや iframe などを使って広告のターゲット設定を操作する
  • メールやソフトウェアで広告を配信する
  • 広告ユニットをフロート表示させ、ユーザーの注意を不当に引き付ける

AdSense 広告コードの修正 - AdSense ヘルプ

メールでGoogleに個別に問い合わせたら「駄目」と言われたという話はいくつか聞いたことがあるものの、直接関係なかったのでヘルプページ自体に禁止と明確に書かれているとは全然知らなかった次第。前述のとおり自分では「裁量でOKか駄目か決めている」と思っていたので、こんなに明確に禁止をうたっているとは思わずちょっと驚いてしまった。

なぜ「規約違反」にならないサイトがあるのか

広告をフロート表示することが明確に禁止されているのはわかったが、それでは「今アドセンスを固定しているサイトは何なの?」という疑問が当然でてくる。これについてはGoogleの公式ヘルプページなどに情報がなく、情況証拠や噂に頼るしかなくなってしまうのだが、要するに「契約が違う」という話に落ち着くようだ。正式名称なのかも不明なのだが、これは一般的には「プレミアムアドセンス(プレミアムアカウントサービス)」と呼ばれている。

要点をざっくりまとめてしまうと、プレミアムサービスというのは膨大なアクセス数があるサイトとGoogleが特別な契約を結び、Googleの担当者と打ち合わせた上で、より柔軟な広告の配信が可能になるというものらしい。ただし、契約できる条件については極めて厳しく、以下の公式ページを読む限り、普通の個人サイト運営者にはまったく関係がないものであることがわかる。(具体的なアクセス数の基準は不明だが、上記リンク先によるとかつては1000万PV/月以上で付与されたサイトがある模様。)

ごく一部のサイト運営者様には、アカウント管理サービスをご利用いただける場合があります。アカウント管理サービスのご利用条件には、サイトの品質が高いこと、トラフィックが多いこと、プログラム ポリシーを遵守していることが含まれますが、これらの条件だけでご利用可能かどうかをお約束または保証することはできません。アカウント管理サービスをご利用いただいているサイト運営者様の多くは AdSense での収益が上位 1% 以内に属しており、それぞれの市場において上位 100 位以内の規模のサイトを持っています。

AdSense で利用できるサポート - AdSense ヘルプ

それではなぜ一部のサイトでは上記の条件をおよそ満たせない状態にも関わらず、アドセンスのプレミアムサービス(と呼ばれるもの)を利用して、「より柔軟な広告フォーマット」(恐らくここにフロートタイプの広告も含まれる)を選択できるかといえば、ブログサービス自体に付与されているプレミアムアドセンスを又借りするような形になっているようだ。つまり貼り付けられているのはブログサービスのアドセンス広告であって、ブログ運営者そのものが登録や契約しているものではない。

例えばFC2ブログでも一定の条件で「FC2ブログ自体のアドセンス広告」が自動的に挿入されるが、基本的にそれと変わらないということになるのだろう。FC2ブログの場合は固定はされてないが、普通とは違うフォーマットで表示されている。もちろん、ブログ運営者に一定の比率で(ブログサービスから)収入の分配がされているであろう点は異なるのだが。

最初に例を出したはてなのページも、広告貼り付けコードが通常のものと大きく異なり、プレミアムサービスを利用してると言われているブログのコードと特徴が一致した。ブックマークページでフロート広告を使えているのも、プレミアム契約になっているから問題がないのだろう。

 

ちなみに、プレミアムサービスが契約可能なほど大規模なサイトではなくても、(これまたハードルがかなり高いが)一定のアクセス数がある法人サイトならGoogleの専任担当者がついてくれるようだ。

もし、新たに AdSense のお申し込みをご検討中の法人様で、対象となるウェブサイトが月間 200 万ページビュー以上の広告掲出が可能な場合は、ぜひ下記のお申し込みフォームよりご登録ください。

グーグルの専任担当者が AdSense(アドセンス)の導入方法、および効果的な運用の方法などをアドバイスさせていただきます。

Inside Adsense : あなたのビジネスで AdSense を最大限ご活用ください

これぐらいの規模のサイトになれば、あるいは担当者経由である程度融通を利かせてくれることもあるのかもしれない。(もちろん、一般の個人には何の関係もないレベルの話であることに変わりはない。)

個人サイトでアドセンスをフロート広告として使うのは不可能

最初の繰り返しになるが、Googleアドセンスの広告をスクロールに固定する「フロート広告」として使うことはガイドラインで明確に禁止されている。例外として大規模な企業サイトがGoogleと交わしている特殊な「プレミアム契約」なら、広告フォーマットの自由度が上がり可能になるようだが、個人で契約するのは何重もの意味で不可能だろう。

さらに例外中の例外として、一部のブログサービスがおこなっている(と言われている)「プレミアムサービスの又貸し」なら大規模な企業サイトでなくても可能なようだが、これも本当に極一握りの超大手ブログのみにしか門戸が開かれていないようだ。

結論としては、見出しに書いたとおりに「普通の個人サイトでアドセンスをフロート広告として使うのは(現実的に)不可能」ということになるだろう。一部のサイトがフロート表示のような規約違反に見える行為をしていても、Googleからおとがめがないのは、そもそも乗っかっているルール(契約)が普通のアカウントとは違うからだと言える。良く見かける大手サイトなどがやってるのを見かけても、不用意に真似しないのが得策だ。