小さなレコード会社としてレーベルを運営する
小さなレコード会社としてレーベルを運営する
千葉和利さん[BadNewsRecords]
90年に音楽雑誌出版社として設立。91年からレ一ペルも開始し94年にそれを本格化。現在は、くるりなどのマネージメントも行なっている。www.badnews.co.jp
バッドニユースは、リリースからマネージメント、イベン卜企画まで行なう“総合音楽制作会社”。まだインディーズが市民権を得ていない時代からレーベルを始め、現在も良質のアーティストを次々と世に送り出している。
最終的にはこれを伝えたいんだつていう熱があることが大事。
—雑誌社としてバッドニュースを立ち上げて、1年後にはレーベルも始めましたよね。そのころの志は?
「はっきり言ってそんなね、意識の高いことをやってやろうっていうのはなかったですよ。雑誌やりながらレーペルやってたらいろんな人が集まってきて。で、まだまだインデイーズってものが少なかったからおもしろかったんですよね。大変なんだけどね。今みたいにCDを置いてくれるっていう状況がそんなに安易じやないから。1軒1軒まわってね、置いてくれませんかって。もろ、直接ですよ」
—直接、足で開拓していった。
「そうそう。だから直接送んなきやダメ<都内は送ったら高いから、持っていったりしてましたけどね(笑)」
—まさに手探りでしたね。
「そうそう。レコード店が今みたいにインデイーズってものを認知してないから。デ力かったのはやっばりタワ一だよね。タワーはそろいろことに新しいから」
—当初、アンチメジヤーっていう意識はありました?
「それぞれの考え方があると思ろけど私は強かったね。その時代っていうのはどうしても流通の壁があって、あと金がないっていう制作費の壁もあるから、ある程度バンドを育てるってな6と、次のステップに行くためにはメジャーが出てきて持っていっちや5わけですよ。メジャーも、インデイ一ズは肖てるところって平気で言ってたしね。だからナニクソだったね。よく言ってたのは、メジャ一の下請け会社には絶対ならないと。原盤は完璧に持つと。バンドと契約するときも、ここをステッブにしてメジャ一に行くと思うんだったらやらないと」
—結果行くのはいいんだけど、そろいろ考えだったらやらないよと。
「そういうこと。ただ、今はそうやってメジャーがウワ一って持っていくんじやなくて、インデイーズとの共有みたいなのができてる感じはするけどね。うちでいう、くるりもそうだしね」
誰か手をあげる人間がいたらいい。それだけ。
—バッドニユースでリリースするア一テイス卜の基準はありますか?
「すごく簡単ですよ。誰か手をあげる人間がいたらいい。それだけ。ただ、そこにはひとつありますよ。その人間、つまりA&Rに企画書、なぜやるのか、どういうとこがいいのかっていうのをプレゼンさせて、納得させられること。あとはきちっと収支表ができてることね。その2つがクリアできれば基本的にはOKです」
—基本的には担当の志というか気持ちが大事だと。
「そこが一番大事。だってインディ一ズっていろのはお金ないんだから、結局その担当者がどんだけの熱を持ってるかってことですよ。あと感覚だね。いくら熱を持ってても時代とマッチしてないと。多少そこはあるけどね」
—インディ一ズレ一ベルとして、今後どのように発展していこうと?
「僕、インディーズって言葉は5年前からイヤなんです。だから会社の中であんまり使おうのよそうと。うち、レコ一ド会社だからと。でも、その前に"ちっちゃい”ってつけろと(笑)。ただ、もうこんだけになってくると、やっぱりバンドを見つけるっていろのは大変じやないですか。だからほかとちよっとやり方を変えるっていうのは4~5年前からやってますね。国内じゃなくて、中国のアーティストをアメリカで売って、全世界で売ったりとか。そういうことを考えてますね」
うちは雑草のごとくデバー卜みたいにやってるから。
―パッドニュースには良質のバンドを輩出しているイメージがあります。
「それはうれしいですね。インディーズって普通は1ジャンルでやってるじやないですか。うちは雑草のごとくデパ一卜みたいにやつてるから、なかなかまとめんのは難しいんだけど」
―ただ、逆に敷居の高いレーベルだと思われているかもしれません。
「ハハハ、それは全然ないですよ。たまたま出会ったバンドが良質のものをやってるっていうだけで、うちらは高いハ一ドルは設けてないですから。チャンスはバンドにあるんだから、敷居か高いっていうのはよくないよねJ
―これからレーベルを始めたいと思っている人にメッセージを。
「今言った通りで、最終的にはその人の熱い気持ち。音の人っぽい言い方だけど、成功するかどろかは、やっぱり気持ちじやないですか。それはレ一ペルじやなくても、何でも一緒かもしれないですけど。特に音楽っていろのは形があるもんじやないから、いい悪いは感覚じやないですか。ってことはそこにこれを伝えたいんだっていう熱があることが一番大事なんですよ」
2006年「音楽主義」より